ベースアップ評価料を算定するには施設基準の届出が必要で、さらに毎年の中間報告・実績報告も義務付けられています。しかし、厚生局のWebサイトにはPDFやExcel様式が並んでいるだけで、「いつ・何を・どうやって提出するのか」を時系列で整理した情報はほとんどありません。
この記事では、初回の届出から毎年の報告までの実務フローをカレンダー形式で完全解説します。都道府県別の提出先一覧、施設基準の変更手続き、よくある差し戻し対策まで網羅しています。
年間スケジュール(タイムライン)
ベースアップ評価料の届出・報告は、以下の年間サイクルで回ります。
初回届出の手続き
提出書類
| 様式 | 内容 | 必須/任意 |
|---|---|---|
| 別添2 | 特掲診療料の施設基準に係る届出書 | 必須 |
| 様式95 | 届出書添付書類(賃金改善計画含む) | 必須 |
| 様式96 | 外来・在宅ベースアップ評価料(II)用 | 評価料(II)届出時のみ |
| 様式97 | 入院ベースアップ評価料用 | 入院評価料届出時のみ |
提出先:地方厚生(支)局一覧
管轄の地方厚生(支)局によって提出先メールアドレスが異なります。
| 地方厚生局 | 管轄都道府県 |
|---|---|
| 北海道厚生局 | 北海道 |
| 東北厚生局 | 青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島 |
| 関東信越厚生局 | 茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・東京・神奈川・新潟・山梨・長野 |
| 東海北陸厚生局 | 富山・石川・岐阜・静岡・愛知・三重 |
| 近畿厚生局 | 福井・滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山 |
| 中国四国厚生局 | 鳥取・島根・岡山・広島・山口・徳島・香川・愛媛・高知 |
| 九州厚生局 | 福岡・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄 |
※提出先のメールアドレスは各地方厚生局のWebサイトで最新情報を確認してください。年次更新される場合があります。
提出期限
提出期限: 算定開始月の前月末
例: 6月から算定を開始したい → 5月末までに提出
例: 9月から算定を開始したい → 8月末までに提出
※月末ギリギリではなく、前月20日までの提出を推奨します。不備があった場合の修正期間を確保するためです。
中間報告書(様式100)の提出
中間報告書は毎年8月に提出します。4月〜6月の3ヶ月間の賃金改善実績を報告します。初年度に6月から算定を開始した場合は、6月の1ヶ月分のみの報告となります。
| 項目 | 報告内容 |
|---|---|
| 対象期間 | 4月〜6月(初年度は算定開始月〜6月) |
| 報告内容 | 実際のベースアップ評価料収入額、職種別の賃金改善実績額 |
| 賃金改善総額 | ベア評価料収入の2/3以上を賃金改善に充てていることが必要 |
| 提出期限 | 8月末(各地方厚生局で異なる場合あり) |
中間報告の注意点
中間報告では「賃金改善実績額がベースアップ評価料収入額の2/3以上」であることが求められます。2/3を下回る場合は、その理由を記載する必要があります(例: スタッフの退職、開業直後で対象期間が1ヶ月のみ等)。
実績報告書(様式100)の提出
実績報告書は毎年2月に提出します。年間の賃金改善実績を報告します。中間報告と様式は同じ(様式100)ですが、集計期間が異なります。
| 項目 | 報告内容 |
|---|---|
| 対象期間 | 4月〜12月(初年度は算定開始月〜12月) |
| 報告内容 | 年間のベースアップ評価料収入額、年間の職種別賃金改善実績額 |
| 賃金改善総額 | 年間のベア評価料収入の2/3以上を賃金改善に充てていることが必要 |
| 提出期限 | 2月末 |
施設基準の変更手続き
以下のような変更があった場合は、変更届出が必要です。
| 変更内容 | 必要な手続き | 期限 |
|---|---|---|
| 医療機関名・開設者名の変更 | 変更届出(別添2) | 変更後速やかに |
| 評価料の区分変更(I→II等) | 変更届出(別添2+様式95/96) | 変更月の前月末 |
| 評価料の辞退・廃止 | 廃止届出 | 廃止月の前月末 |
| スタッフ構成の大幅変更 | 変更届出(様式95) | 変更後速やかに |
令和8年度(2026年度)の注意点
評価料(I)のみの届出は簡略化
令和8年度改定の大きな変更点として、外来・在宅ベースアップ評価料(I)のみを届け出る場合は、賃金改善計画書の作成が不要になりました。別添2+様式95の提出だけで届出が完了します。
令和8年6月からの点数改定に対応
令和8年6月から点数が改定されました(初診17点・再診4点)。既に届出済みの医療機関も、改定後の点数に基づいて賃金改善計画を見直す場合は変更届出が必要です。
令和9年6月〜の点数引上げ
令和9年6月からは、継続的賃上げ実施施設で初診40点・再診10点へさらに引上げ予定です。この引上げに対応するための賃金改善計画の見直し・変更届出も必要になります。早めの準備をおすすめします。
よくある届出ミスと対策
| ミス | 対策 |
|---|---|
| 様式が古い(前年度版を使用) | 必ず厚労省サイトから最新版をDL |
| 提出先を間違える | 地方厚生局のWebサイトで最新のメールアドレスを確認 |
| 中間報告書の提出を忘れる | カレンダーに8月のリマインダーを設定 |
| 賃金改善実績が2/3未満 | スタッフ退職など特別な理由がある場合はその旨を記載 |
| 実績報告書の数字が賃金台帳と不一致 | 勤怠データと賃金改善額をシステム上で紐付けて管理 |
届出・報告を効率化するために
ベースアップ評価料の届出から報告までを年間サイクルで回すには、スタッフごとの勤務実績と賃金改善額を継続的に追跡できる仕組みが必要です。Excelでの手動管理では、中間報告・実績報告のたびに集計作業が発生し、ミスの原因にもなります。
Medical Attend は、勤怠データの自動集計、職種別・スタッフ別の人件費レポート、賃金改善計画書の作成に必要なデータ出力を提供し、届出・報告業務を大幅に効率化します。
