「ベースアップ評価料の年間見込収入は計算できたけど、スタッフにどう配分すればいいかわからない」「パートと常勤で差をつけていいのか」——そんな悩みをお持ちのクリニック経営者・事務長の方へ。
この記事では、ベースアップ評価料の分配パターンを3つ提示し、実際のクリニックを想定したシミュレーションで比較します。分配方法に正解はありませんが、スタッフの納得感と運用のしやすさを両立させる判断基準をお伝えします。
📌 この記事の構成
- 3つの分配パターンの違いを理解する
- 月間初診200件・再診600件のクリニックでシミュレーション
- 各パターンのメリット・デメリットと選び方
- 賃金改善計画書への記載ポイント
前提条件:この記事のシミュレーション設定
- 年間見込収入:696,000円(初診17点・再診4点で計算済み)
- スタッフ構成:看護師3名 + 医療事務2名(計5名)
- 2026年改定後の新点数に対応
計算方法の詳細は別記事「ベースアップ評価料の計算方法」で解説しています。この記事では「どう配分するか」に集中します。
分配パターン①:均等配分(最もシンプル)
年間見込収入をスタッフ人数で単純に均等割りする方法です。最もシンプルで、スタッフ間の不公平感が生まれにくいのがメリット。
| スタッフ | 職種 | 勤務時間/週 | 年間配分額 | 月額換算 |
|---|---|---|---|---|
| A | 常勤看護師 | 40h | 139,200円 | 11,600円 |
| B | 常勤看護師 | 40h | 139,200円 | 11,600円 |
| C | パート看護師 | 24h | 139,200円 | 11,600円 |
| D | 常勤医療事務 | 40h | 139,200円 | 11,600円 |
| E | パート医療事務 | 16h | 139,200円 | 11,600円 |
単純計算:696,000円 ÷ 5人 = 139,200円/人
✅ メリット
- 計算が最も簡単(割るだけ)
- スタッフ間の「なぜ差があるの?」という疑念が生まれない
- 賃金改善計画書への記載も簡単
⚠️ デメリット
- パート(週16h)と常勤(週40h)が同額になり、勤務時間の多いスタッフが不公平感を持つ可能性
- 「自分は週4日働いているのに週2日の人と同じ」という不満が出やすい
分配パターン②:勤務時間按分(最も公平・おすすめ)
各スタッフの勤務時間に比例して配分する方法です。厚生労働省の通知でも「勤務時間按分が最も一般的」とされており、多くのクリニックで採用されています。
| スタッフ | 職種 | 週勤務時間 | 按分比率 | 年間配分額 | 月額換算 |
|---|---|---|---|---|---|
| A | 常勤看護師 | 40h | 25.0% | 174,000円 | 14,500円 |
| B | 常勤看護師 | 40h | 25.0% | 174,000円 | 14,500円 |
| C | パート看護師 | 24h | 15.0% | 104,400円 | 8,700円 |
| D | 常勤医療事務 | 40h | 25.0% | 174,000円 | 14,500円 |
| E | パート医療事務 | 16h | 10.0% | 69,600円 | 5,800円 |
| 合計 | 100% | 696,000円 | 58,000円 | ||
計算式:各スタッフの年間配分額 = 696,000円 ×(そのスタッフの週勤務時間 ÷ 総週勤務時間160h)
✅ メリット
- 最も公平で、スタッフの納得感が高い
- パート・アルバイトの勤務時間変動にも対応できる(月ごとに再計算)
- 厚労省の通知でも「一般的な方法」として推奨
⚠️ デメリット
- 勤務時間の変動があるパートの場合、月ごとに計算が必要(手間)
- 職種間の格差を考慮しない(看護師も医療事務も一律の時間単価で按分)
分配パターン③:職種別配分(看護師手当として重点配分)
職種ごとに配分比率を変える方法です。たとえば「看護師には医療事務の1.2倍を配分する」といった判断を加えます。ベースアップ評価料が「処遇改善」を目的としていることから、より処遇改善が必要な職種に厚く配分する考え方です。
| スタッフ | 職種 | 週勤務時間 | 加重係数 | 年間配分額 | 月額換算 |
|---|---|---|---|---|---|
| A | 常勤看護師 | 40h | 1.2 | 208,800円 | 17,400円 |
| B | 常勤看護師 | 40h | 1.2 | 208,800円 | 17,400円 |
| C | パート看護師 | 24h | 1.2 | 125,280円 | 10,440円 |
| D | 常勤医療事務 | 40h | 0.8 | 92,568円 | 7,714円 |
| E | パート医療事務 | 16h | 0.8 | 60,552円 | 5,046円 |
| 合計 | 696,000円 | 58,000円 | |||
✅ メリット
- 職種ごとの処遇改善ニーズに合わせた配分が可能
- 「看護師の離職防止に重点を置きたい」などの経営判断を反映しやすい
⚠️ デメリット
- 加重係数の設定根拠を説明できないとスタッフの不満につながる
- 職種間で「なぜ差があるのか」という説明責任が生じる
3パターンの比較
| スタッフ | 勤務時間/週 | 均等配分 | 勤務時間按分 | 職種別配分 |
|---|---|---|---|---|
| A(常勤看護師 40h) | 40h | 139,200円 | 174,000円 | 208,800円 |
| C(パート看護師 24h) | 24h | 139,200円 | 104,400円 | 125,280円 |
| E(パート医療事務 16h) | 16h | 139,200円 | 69,600円 | 60,552円 |
常勤看護師(A)とパート医療事務(E)の差:
- 均等配分:差なし(0円)——シンプルだが不公平感のリスク
- 勤務時間按分:104,400円の差——勤務時間の差がストレートに反映
- 職種別配分:148,248円の差——職種評価が加わり最大の差
💡 どのパターンを選ぶべきか?
- 公平性を最重視 → 勤務時間按分(パターン②)
- とにかくシンプルに → 均等配分(パターン①)、ただしスタッフの納得確認が必要
- 特定職種の処遇改善に重点 → 職種別配分(パターン③)
分配シミュレーションを自動化する
分配パターンを複数比較しようとすると、毎回エクセルで計算するのは手間です。特にパートスタッフの勤務時間が月ごとに変動する場合、都度の再計算が大きな負担になります。
Medical Attend のベースアップ評価料自動計算機能を使えば、
- ✅ 勤怠データから自動で勤務時間を集計
- ✅ 選択した分配パターンで自動計算
- ✅ 2026年改定後の新点数に完全対応
- ✅ 賃金改善計画書に必要な集計データもワンクリックで出力
- ✅ 勤務時間変動があっても毎月自動で再計算
「分配パターンを3つ比較して、スタッフに提示したい」——そんな要望にも、複数のパターンを同時計算して比較表で見せることができます。
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