「ベースアップ評価料の計算方法がよくわからない」「令和8年度の改定で点数が変わったって本当?」——そんな疑問をお持ちのクリニック経営者・事務長の方へ。
この記事では、2026年(令和8年)6月からの新点数に対応したベースアップ評価料の計算方法を、実際のクリニックを想定した具体例を使ってステップ別に解説します。税理士や社労士に聞く前に、まずはこの記事で全体像を掴んでください。
📌 2026年改定で変わった3つのポイント
- 点数が大幅アップ:初診時 6点→17点、再診時 2点→4点
- 対象職員が拡大:40歳未満の医師・歯科医師も対象に
- 全医療機関で再届出が必要:令和8年6月からの算定には新たな届出が必須
STEP 1:年間の見込収入を計算する
まず、1年間にどれだけのベースアップ評価料を算定できるか(見込収入)を計算します。
計算式
月間算定額 = 月間算定回数 × 点数 × 10円
年間見込収入 = 月間算定額 × 12ヶ月
【具体例】月間初診200件・再診600件のクリニック
| 項目 | 算定回数/月 | 点数 | 月額 |
|---|---|---|---|
| 初診(外来・在宅ベア評価料Ⅰ 1) | 200件 | 17点 | 34,000円 |
| 再診(外来・在宅ベア評価料Ⅰ 2) | 600件 | 4点 | 24,000円 |
| 月間合計 | 58,000円 | ||
| 年間見込収入 | 696,000円 | ||
※この例では外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)のみを算定。在宅診療を行う場合は訪問診療時の点数(同一建物居住者以外79点、同一建物居住者19点)も加算されます。
R6年度の点数(初診6点・再診2点)で計算すると月間24,000円・年間288,000円でした。2026年改定により、同じ診療件数でも約2.4倍の収入になる計算です。
STEP 2:スタッフへの配分計画を立てる
見込収入を、対象スタッフにどう配分するかを決めます。配分方法に法律上の決まりはありませんが、勤務時間按分が最も一般的で公平な方法です。
配分の考え方
各スタッフの配分額 = 年間見込収入 ×(そのスタッフの月間勤務時間 ÷ 全スタッフの月間総勤務時間)
【具体例】看護師3名・医療事務2名のクリニック
年間見込収入696,000円を5名で配分します。
| スタッフ | 職種 | 週勤務時間 | 按分比率 | 年間配分額 | 月額換算 |
|---|---|---|---|---|---|
| A | 常勤看護師 | 40h | 25.0% | 174,000円 | 14,500円 |
| B | 常勤看護師 | 40h | 25.0% | 174,000円 | 14,500円 |
| C | パート看護師 | 24h | 15.0% | 104,400円 | 8,700円 |
| D | 常勤医療事務 | 40h | 25.0% | 174,000円 | 14,500円 |
| E | パート医療事務 | 16h | 10.0% | 69,600円 | 5,800円 |
| 合計 | 100% | 696,000円 | 58,000円 | ||
配分時の注意点
- 医師は原則として対象外ですが、2026年改定により40歳未満の勤務医・歯科医師は対象に含まれます
- パート・アルバイトも対象です。勤務時間に応じて按分します
- 基本給への上乗せ、手当としての支給、賞与での対応など、方法は自由ですが基本給または毎月支払われる手当の引上げが原則とされています(厚労省通知)
- 配分額の全額を賃金改善に充てることが要件です。院長の報酬や経費に流用できません
STEP 3:賃金改善計画書を作成する
ベースアップ評価料を算定するには、賃金改善計画書を地方厚生局に提出する必要があります。
計画書には以下の項目を記載します。
- 対象スタッフ一覧:氏名・職種・雇用形態・常勤換算数
- 配分計画:各スタッフの配分額(月額・年額)
- 配分の考え方:勤務時間按分など、配分基準の説明
- 賃金改善の方法:基本給引上げ/手当新設/賞与上乗せ
- 実施スケジュール:いつから支給開始するか
詳細な書き方や様式については、別記事「賃金改善計画書のテンプレートと書き方【2026年版】」で解説しています。
STEP 4:実績報告と年度調整
年度末には、実際にどれだけの賃金改善を行ったかを実績報告書にまとめて提出します。配分計画と実績に差異がある場合は、翌年度に調整します。
また、年4回(3・6・9・12月)のタイミングで区分の見直しが可能です。患者数が増減して見込収入が変わった場合は、このタイミングで区分を変更し、配分計画も見直します。
対象職種の一覧【2026年版】
厚生労働省の通知(令和8年3月5日 保医発0305第6号)に基づく、ベースアップ評価料の対象職種は以下の通りです。
| 区分 | 該当する職種 |
|---|---|
| ✅ 対象 | 看護師・准看護師、薬剤師、診療放射線技師、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、管理栄養士、医療事務(受付・クラーク)、40歳未満の医師・歯科医師 など |
| ❌ 対象外 | 40歳以上の医師・歯科医師、専ら事務作業を行う者(一般事務職)、業務委託により勤務する者 など |
2026年改定で注目すべき変更点は、40歳未満の勤務医・歯科医師が対象となったことです。これにより、研修医や若手医師が複数いるクリニックでは、見込収入が大幅に増える可能性があります。
計算ミスを防ぐには?
ベースアップ評価料の計算でよくあるミスは以下の3つです。
- 点数の適用誤り:R6年度とR8年度の点数を混同している
- 対象職員の漏れ:パートスタッフや40歳未満の医師を対象から外してしまう
- 配分額の過不足:見込収入の全額を配分していない(または超過している)
これらのミスを防ぐ最も確実な方法は、自動計算ツールを導入することです。
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- ✅ スタッフの勤務時間データから自動で配分額を計算
- ✅ 2026年改定後の新点数に自動対応
- ✅ 職種別の自動配分(看護師・医療事務など職種ごとの配分を自動調整)
- ✅ 賃金改善計画書に必要な集計データをワンクリックで出力
- ✅ 年間の実績報告書作成に必要な集計にも対応
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