クリニックの給与計算は、一般企業と比べて医療機関特有の項目が多く、ミスが起きやすい領域です。ベースアップ評価料の配分、非常勤医師の源泉徴収、当直手当の計算など、一般の給与計算システムでは対応しきれないケースも少なくありません。
この記事では、クリニックの給与計算で実際に多い7つのミスを、発生原因・影響・防止策の3点セットで解説します。最後にチェックリストも用意しています。
ミス1: ベースアップ評価料の配分計算ミス
発生原因
令和8年度(2026年度)の点数改定(初診17点・再診4点)を反映していない、または配分額の合計が見込収入を超過している。
影響
賃金改善計画書の不備で厚生局から差し戻し。最悪の場合、ベースアップ評価料の算定が認められず、遡及返還となる。
防止策
初診17点・再診4点で見込収入を計算し、配分額が収入を超えていないかExcelで自動チェックする。パートには時給換算額を明記する。
ミス2: 当直・オンコール手当の計算ミス
発生原因
当直手当とオンコール手当を混同。オンコールの待機時間を労働時間に含めるかどうかの判断ミス。
影響
未払い残業代として訴訟リスク。労働基準監督署の是正指導対象に。
防止策
当直は宿直勤務(労働密度が低い場合、許可基準あり)、オンコールは呼出対応のみを手当とする。勤怠システムで実労働時間と待機時間を明確に区別して記録する。
ミス3: パートスタッフの扶養範囲超過
発生原因
月々の勤務時間変動を把握できておらず、気づいたら年収130万円を超過していた。
影響
パートスタッフが扶養から外れ、国民健康保険・国民年金への加入が必要に。スタッフとのトラブルに発展する。
防止策
勤怠システムで月ごとの勤務時間と累積年収見込をリアルタイムで可視化。月80時間・年収100万円を超えた時点でアラートを出す。
ミス4: 非常勤医師の源泉徴収漏れ
発生原因
非常勤医師を業務委託と誤認し、源泉徴収をしていなかった。または雇用契約なのに乙欄適用を忘れた。
影響
税務署の税務調査で指摘され、遡及徴収+加算税。
防止策
雇用契約と業務委託の判断基準(勤務時間・場所の拘束の有無)を明確にし、契約書に明記。雇用契約の非常勤医師は給与所得として源泉徴収を行う。
ミス5: 残業代の未払い・計算ミス
発生原因
タイムカードの打刻漏れ、管理者による勤務時間の過少申告、割増賃金率(25%以上)の誤適用。
影響
未払い残業代の遡及請求。労働基準監督署の是正指導。クリニックの評判低下。
防止策
勤怠管理システムで打刻漏れを自動検知。残業時間をリアルタイムで可視化し、月80時間超でアラート。
ミス6: 社会保険料の控除ミス
発生原因
2026年度の社会保険料率(健康保険9.85%・厚生年金18.3%・雇用保険1.35%)を誤って旧料率で計算。標準報酬月額の変更を反映していない。
影響
スタッフへの過不足控除。年末調整での追加徴収または還付でスタッフに迷惑がかかる。
防止策
給与計算システムで保険料率を常に最新に保つ。算定基礎届(7月)で標準報酬月額が変更されたら、9月分給与から確実に反映する。
ミス7: 昇給・降給の反映漏れ
発生原因
給与改定月に基本給の変更を反映し忘れる。ベースアップ評価料の賃金改善額を基本給に組み込んだが、給与システムに反映していない。
影響
スタッフへの未払い。遡及支給で事務負担が増大。スタッフの信頼低下。
防止策
給与改定月の1週間前までに変更リストを作成し、給与計算前に全スタッフの基本給を再確認する。
ミス防止の最終チェックリスト
- ベア評価料の見込収入を初診17点・再診4点で計算しているか
- 当直・オンコールの労働時間を正しく区別して記録しているか
- パートスタッフの累積勤務時間・年収見込を把握しているか
- 非常勤医師の雇用形態(雇用/委託)を契約書で明確にしているか
- 残業時間をリアルタイムで可視化できているか
- 保険料率(健康保険9.85%等)が最新か
- 昇給・降給を給与計算前に再確認する仕組みがあるか
勤怠データの自動連携でミスを根絶する
上記の7大ミスの多くは、勤怠データと給与計算が手作業で分断されていることが根本原因です。Medical Attend は、勤怠打刻→集計→給与計算データ出力までを自動化し、転記ミス・計算ミス・反映漏れを防止します。
