「クリニックの給与計算、自分でやるのがだんだん大変になってきた。SaaSに移行すべき?それとも社労士に丸投げ?」——そんな迷いをお持ちのクリニック経営者・事務長の方へ。
この記事では、給与計算の3つの選択肢——SaaS(クラウド給与ソフト)・アウトソース(BPO)・社労士委託——を、実際の料金をもとに比較します。従業員5名・10名・20名の3パターンで年間コストを試算。最後にクリニックの規模別おすすめも示します。
📌 この記事でわかること
- 3つの選択肢の料金を同一条件で比較
- 5名・10名・20名の3パターン別の年間コスト
- クリニック規模別のおすすめ選び方
選択肢の全体像:何が違うのか
給与計算の方法は大きく3つに分かれます。
| 選択肢 | やること | 月額コスト目安(5名) | 手間 |
|---|---|---|---|
| ① SaaS | 自分でソフトを操作。データ入力→自動計算 | 2,000〜5,000円 | 中(月1〜2時間) |
| ② アウトソース | 勤怠データを送るだけ。計算〜支給は先方 | 3〜8万円 | 小(月30分) |
| ③ 社労士委託 | 社労士が給与計算〜社会保険手続きまで担当 | 2〜5万円 | 小〜中(月30分〜1時間) |
「手間をゼロにしたいから社労士」と決める前に、年間で数十万円の差がつくこともあります。自分のクリニックに最適な選択肢を見つけるのが、この記事の目的です。
① SaaS(クラウド給与ソフト)の料金
SaaSの最大のメリットは低コストと自動計算です。2026年7月時点で、主要3サービスの料金を実際に公式サイトで確認しました。
freee人事労務
基本料金0円 + 1ユーザーごとの従量課金。5名から利用可能。給与計算(固定時間制)は全プランに標準搭載されています(2026年7月時点の公式料金ページで確認)。
| プラン | 5名の場合(月額・年払い) | 6名以降1名追加 | 給与計算(固定時間制) |
|---|---|---|---|
| ミニマム | 2,000円/月 | +400円 | ✅ 標準搭載 |
| スターター | 3,000円/月 | +600円 | ✅ 標準搭載 |
| スタンダード(推奨) | 4,000円/月 | +800円 | ✅ 標準搭載 |
| アドバンス | 5,500円/月 | +1,100円 | ✅ 標準搭載 |
出典:freee人事労務 料金プラン(2026年7月17日確認)
5名の場合、ミニマムプラン年払いで2,000円/月から給与計算が使えます。給与計算+勤怠管理も含めるならスタンダード(4,000円/月)をおすすめします。
※ +1,300円/IDは「運用代行」のオプション料金であり、給与計算機能そのものの追加料金ではありません。
マネーフォワード クラウド給与
3つのプランがあり、いずれも年払いと月払いを選択可能。初期費用は0円です。給与計算に必要な機能は全プランに含まれます。
| プラン | 年払い(月額) | 月払い | 対象人数 |
|---|---|---|---|
| ひとり法人プラン | 2,480円/月 | 3,980円/月 | 経営者1名 |
| スモールビジネスプラン | 4,480円/月 | 5,980円/月 | 〜3名(固定) |
| ビジネスプラン | 6,480円/月 | 7,980円/月 | 4名以上(6名以降+300円/名) |
出典:マネーフォワード クラウド給与 料金プラン(2026年7月17日確認)
クリニック5名の場合、ビジネスプラン年払いで6,480円/月。10名だと6,480 + 300×4 = 7,680円/月です。
弥生給与 Next
弥生給与 Next の料金は公式サイトの料金ページが個別公開されておらず、資料請求ベースでした。記事執筆時点では具体的な月額を確認できていません。
参考までに、弥生が2026年6月26日に公表したお知らせによると、エントリーライトプランの提供終了が発表されており、料金体系の見直しが行われている可能性があります。
出典:弥生株式会社 公式サイト(2026年7月17日確認、料金は要問い合わせ)
② アウトソース(給与計算BPO)の料金
給与計算業務を専門会社に委託する「BPO」サービスもあります。代表的なfreee BPaaSは、月額95,000円(50ID分含む)から。業務範囲によって変動します。
クリニック規模(5〜20名)では、アウトソースは料金的に割高になる傾向があります。
③ 社労士に委託する場合の料金相場
社労士に給与計算を委託する場合の料金は、月額2〜5万円が一般的です(社保手続き込みで+1〜2万円)。
ただし社労士報酬には決まった料金表がなく、事務所によって大きく異なります。以下は一般的な相場です。
| 業務範囲 | 月額目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 給与計算のみ | 2〜3万円 | 勤怠データはクリニック側で準備 |
| 給与計算 + 社会保険手続き | 3〜5万円 | 入退社・社保・年末調整含む |
| 給与計算 + 労務相談 | 5〜8万円 | 就業規則作成や労務指導含む |
※ 社労士料金は各事務所に直接確認してください。上記は複数の社労士紹介サイトの情報を参考にした目安です。
年間コスト比較:5名・10名・20名の3パターン
それでは、実際にクリニックの規模別に年間コストを計算してみましょう。
| パターン | 従業員5名 | 従業員10名 | 従業員20名 |
|---|---|---|---|
| SaaS(マネーフォワード年払い) | 77,760円/年 | 92,160円/年 | 118,800円/年 |
| SaaS(freee スタンダード年払い) | 48,000円/年 | 96,000円/年 | 192,000円/年 |
| 社労士委託(給与計算のみ) | 24〜36万円/年 | 24〜36万円/年 | 24〜36万円/年 |
| 社労士委託(社保手続き込み) | 36〜60万円/年 | 36〜60万円/年 | 36〜60万円/年 |
| アウトソース(BPO) | 約114万円/年 | 約114万円/年 | 約114万円/年 |
💡 コストのポイント
- SaaSは人数が増えてもコスト上昇が緩やか。10名→20名でも+3万円/年程度
- 社労士委託は人数が少なくても一定の固定費がかかる。5名でも30万円前後/年
- アウトソースは圧倒的に高額。20名未満のクリニックには割に合わない
「手間」をコスト換算すると
給与計算を自前で行う場合の「手間」も無視できません。クリニックの事務長が月に給与計算に費やす時間を試算します。
| 業務 | Excel手作業 | SaaS利用 | SaaS+勤怠連携 |
|---|---|---|---|
| 勤怠データ集計 | 月2〜3時間 | 30分〜1時間 | 自動(0分) |
| 給与計算 | 月1〜2時間 | 10〜20分 | 10〜20分 |
| 社会保険・税金計算 | 月30分〜1時間 | 自動 | 自動 |
| 月次合計 | 3.5〜6時間 | 40分〜1.5時間 | 10〜20分 |
| 年間換算(時価2,000円) | 8.4〜14.4万円 | 1.6〜3.6万円 | 0.4〜0.8万円 |
時価(事務長の時間単価)を2,000円とすると、SaaS導入で年間7〜11万円の「見えないコスト削減」になる計算です。
クリニック規模別おすすめ
✅ 従業員5名以下の小規模クリニック
おすすめ:SaaS(マネーフォワード クラウド給与 スモールビジネスプラン)
年間5〜8万円で給与計算が完了。社労士委託(24〜36万円)と比較すると、年間20万円以上のコスト差がつきます。勤怠管理と連携すれば手間も最小限に。
✅ 従業員10名程度の中規模クリニック
おすすめ:SaaS(マネーフォワード or freee)
10名でもSaaSの年間コストは10〜20万円以内。社労士委託の半額以下です。パートスタッフが多いクリニックは、勤怠連携ありのSaaSが特に有効です。
✅ 従業員20名以上の大規模クリニック
選択肢が分かれる
SaaSが最も安いのは変わりませんが、社保手続きや労務相談の頻度が増える場合は、社労士との併用も検討する価値があります。「SaaSで計算+社労士が確認」のハイブリッドが現実的です。
まとめ:結局、何を選べばいいのか
📋 判断フロー
- 従業員20名以下で、自分たちである程度操作できる → SaaS一択。年間10〜20万円で済む
- 社保手続きの頻度が多い(入退社が月1回以上) → SaaS + 社労士(社保手続きのみ委託)が現実的
- 「給与計算の手間を完全になくしたい」 → 社労士委託(24〜60万円/年)。ただしコストはSaaSの2〜5倍
- 従業員50名以上 → アウトソースも検討範囲。10万円/月程度のコスト対効果の検討を
給与計算の選択肢は、
- SaaS:低コスト+適度な手間。20名以下では最もバランスが良い
- 社労士委託:手間は最小だがコストは高い。社保手続き込みで年36〜60万円
- アウトソース:50名以上で検討。それ以下では割高
まずはSaaSを1ヶ月試して、手間とコストのバランスを実感してみるのがおすすめです。
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