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様式9(看護要員勤務実績表)の作成方法と減算リスク回避

カテゴリ: 制度解説

入院基本料の施設基準を満たすために、病院の看護部や事務部門が毎月頭を悩ませるのが様式9(看護要員勤務実績表)の作成です。夜勤時間の集計方法を間違えると、入院基本料の減算につながるため、正確な作成は経営にも直結します。

この記事では、厚生労働省の施設基準資料に基づき、様式9の作成単位・勤務時間の計上ルール・月平均夜勤時間数の計算・減算リスクの回避策を解説します。

様式9とは

様式9(看護要員勤務実績表)は、入院基本料の算定に必要な、病棟ごとの看護職員・看護補助者の勤務実績をまとめる書類です。暦月1か月の実績で作成し、入院基本料の施設基準(看護配置・夜勤時間数など)を満たしていることを証明するために用いられます。

7対1や10対1の入院基本料を算定する病棟では、夜勤時間の要件が特に重要で、実績が基準を下回ると入院基本料の減算や施設基準の不適合が生じる可能性があります。

作成単位と算出期間

様式9は、入院基本料ごと・病棟種別(一般病棟・療養病棟・結核病棟・精神病棟)単位で作成します。複数の病棟・入院料を算定している場合は、それぞれの組み合わせで作成が必要です。

項目算出期間
1日平均入院患者数1年間(増床時・減床時を除く)
平均在院日数3ヶ月
月平均夜勤時間数暦月1か月、または4週間(連続する任意の期間)のどちらか

4週間管理を採用する場合は、月単位と4週間単位の様式9が両方必要になる点に注意してください。

勤務時間の計上ルール

様式9の勤務時間は、病棟で実際に看護にあたった時間を計上します。計上する・しないの判断は、厚生局の資料で細かく定められています。

時間計上
食事・休憩時間計上する
残業時間計上しない
院内感染防止対策委員会・医療安全管理委員会・褥瘡対策委員会・職員研修など計上する
病棟外の業務(外来・事務など)病棟勤務分のみを計上(兼務は按分)

「残業時間は計上しない」「食事・休憩は計上する」という一見すると逆に感じるルールが、様式9のミスの典型例です。自院の勤怠データから正しく切り分ける必要があります。

夜勤時間の扱いと月平均夜勤時間数

様式9では、夜勤時間帯(例: 16:30〜8:30の16時間)を定義し、スタッフごとの夜勤時間を日別に記入します。夜勤の有無の判定は、入院基本料の種類によって異なります。

入院基本料「夜勤なし」と扱う基準
急性期病院一般入院基本料・急性期一般入院基本料・7対1・10対1月当たりの夜勤時間が16時間未満(短時間正職員は12時間未満)
上記以外の病棟月当たりの夜勤時間が8時間未満

月平均夜勤時間数は、(総夜勤時間−計算に含まない者の夜勤時間)÷ 平均在院患者数といった形で算出します。夜勤専従者や基準未満の短時間夜勤者は計算から除外されるため、該当者の把握が重要です。

減算リスクと回避策

様式9の作成ミスによる減算リスクを防ぐには、以下のポイントを押さえましょう。

手作業で月の勤怠データから様式9用の数値を転記すると、転記ミスや集計漏れが発生しやすくなります。勤怠データを勤務帯(日勤・夜勤)で集計できる仕組みがあれば、月平均夜勤時間数の算出と基準割れの事前チェックが可能になります。

勤怠システムで様式9作成を効率化する

勤怠管理システムで勤務帯を定義し、日勤・夜勤の時間を自動集計すれば、様式9の作成時間を大幅に削減できます。夜勤時間の基準(16時間・12時間・8時間)を管理項目として設定し、基準割れの兆候をシフト作成段階で検知できる体制が理想です。

「月末になってから数字を合わせる」のではなく、シフトを組む時点で夜勤時間の要件を確認できる運用に切り替えることが、減算リスク回避の近道です。

様式9作成の具体的な手順

1対象病棟・入院基本料の確認

様式9を作成する病棟種別と入院基本料の組み合わせを確認し、必要な枚数を把握します。

2夜勤時間帯の定義確認

自院で定めている夜勤時間帯(例: 16:30〜8:30)を施設基準の届出内容と照合します。

3勤怠データの集計

スタッフごとの日勤・夜勤時間を集計し、食事・休憩(計上)と残業(非計上)を区分します。

4夜勤の有無・除外者の判定

夜勤16時間未満(短時間正職員12時間未満・他病棟8時間未満)のスタッフを「無」と判定します。

5月平均夜勤時間数の算出・確認

計算式に当てはめて月平均夜勤時間数を算出し、施設基準を満たしているか確認します。

この一連の工程を手作業で行うと、毎月数時間〜数日かかります。勤怠データを勤務帯単位で集計できる仕組みがあれば、工程3〜5をほぼ自動化できます。

2026年度診療報酬改定との関係

診療報酬改定では、入院基本料の施設基準や夜勤時間の要件が見直されることがあります。2026年度改定後の要件は、厚生労働省の通知・施設基準の届出資料で確認してください。

改定内容は自院の様式9の作成方法(夜勤時間帯・基準時間・計算式)に直接影響するため、毎年4月の改定時に設定を見直すことが重要です。勤怠システムの夜勤時間帯設定を改定内容に合わせて更新しておきましょう。

減算が発生した場合の対応

仮に月平均夜勤時間数が基準を下回った場合は、入院基本料の減算や施設基準の届出内容の見直しが必要になる可能性があります。減算を避けるための対応としては、以下の検討が考えられます。

減算リスクは「気づいた時には月末」という状況になりがちです。シフト作成段階で夜勤時間の見通しをチェックする運用を導入しましょう。

よくある質問

Q. 様式9は誰が作成しますか?

A. 病院の看護部(看護師長・主任)と事務部門が連携して作成するのが一般的です。勤怠データの管理担当と、施設基準の届出担当が協力して進めます。

Q. 様式9の提出先はどこですか?

A. 入院基本料等の施設基準に係る届出の添付書類として、厚生局(地方厚生局・厚生局支局)または管轄の行政機関に提出します。届出前1か月の勤務実績表の添付が必要です。

Q. 夜勤時間帯は自院で自由に決められますか?

A. 自院の勤務実態に合わせて定義しますが、施設基準の届出内容と整合している必要があります。例として16:30〜8:30の16時間帯がよく用いられます。

Q. 電子カルテや勤怠システムのデータをそのまま使えますか?

A. 勤怠システムの勤務帯データを基準に集計できますが、計上ルール(食事・休憩は計上、残業は非計上など)に合わせた変換が必要です。システム側で様式9用の集計に対応しているか確認しましょう。

まとめ

様式9は、暦月1か月の実績をもとに病棟種別ごとに作成し、食事・休憩(計上)と残業(非計上)を正しく区別することが基本です。夜勤時間の要件(16時間・12時間・8時間)と月平均夜勤時間数の計算を正確に行い、勤怠データからの自動集計で転記ミスと減算リスクを防ぎましょう。

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