「賃金改善計画書って何を書けばいいの?」「令和8年からの新様式に対応できてる?」——ベースアップ評価料を算定するには賃金改善計画書の提出が必須です。初めてだと戸惑うことも多い書類ですが、書き方のポイントさえ押さえれば難しくありません。
この記事では、2026年(令和8年)6月からの新制度に対応した賃金改善計画書の書き方を、記入例・必要様式の早見表付きで解説します。
📌 2026年改定のポイント
- 全医療機関で再届出が必要:R8.6月からの算定には新たな届出が必須
- 提出期限:令和8年6月から算定する場合、6月3日までに届出(厚労省手引き)
- 様式が一部変更:対象職員の拡大(40歳未満の医師追加)に伴い記入項目が拡充
賃金改善計画書とは?
賃金改善計画書は、ベースアップ評価料の算定に必要な法定書類です。厚生労働省の通知(令和6年3月5日 保医発0305第6号)に基づき、以下の内容を地方厚生局に提出する必要があります。
- ベースアップ評価料による収入を全額スタッフの賃金改善に充てることの誓約
- 具体的な配分計画と実施スケジュール
- 対象スタッフの職種・人数・配分額
この計画書と合わせて、施設基準の届出書(別添2)と届出書添付書類(様式95)を提出します。多くの無床診療所はこの2つの様式だけで届出が完了します(厚労省「ベースアップ評価料の届出の手引き」R8対応版)。
必要様式の早見表【2026年版】
厚生労働省の令和8年度改定対応の手引きに基づく、必要様式の早見表です。
| ケース | 必要な様式 |
|---|---|
| ベア評価料(Ⅰ)のみを算定する大半の診療所 | 別添2 + 様式95 |
| ベア評価料(Ⅰ)の注5(高い点数)を算定する場合 | 別添2 + 様式95 + 様式98 |
| ベア評価料(Ⅱ)も算定する場合(Ⅰだけでは不足する診療所) | 別添2 + 様式95 + 様式96 + 場合により様式98 |
| 入院ベースアップ評価料を算定する場合 | 別添2 + 様式97 + 様式99 |
大半の無床診療所は「別添2」と「様式95」の2つだけ記入すればOKです。記入項目はスタッフの人数の記入とチェックボックスへのチェックだけで、すぐに終わります(厚労省手引き)。
各様式の書き方【記入例付き】
1. 別添2(届出書)
全ての医療機関で必須の基本様式です。以下の項目を記入します。
- 保険医療機関の名称・所在地・電話番号
- 開設者の氏名
- 届出の区分(新規/変更)
- 該当する評価料のチェックボックス
2. 様式95(届出書添付書類)
これが実質的な賃金改善計画書です。以下の項目を記入します。
| 記入項目 | 記入内容の例 |
|---|---|
| (Ⅰ)算定開始年月 | 令和8年6月 |
| (Ⅱ)対象職員の常勤換算数 | 4.5人(常勤3名 + パート2名を常勤換算) |
| (Ⅲ)評価料算定開始時の基本給等総額 | 例:月額1,200,000円(対象職員5名分) |
| (Ⅳ)R6.3時点の給与体系に当てはめた場合の基本給等総額 | 例:月額1,150,000円(同じ5名をR6時点の賃金水準で計算) |
| (Ⅴ)施設基準で定められた賃上げ水準(自動計算) | 例:看護補助者・事務職員以外は5.5%、看護補助者・事務職員は8.0%(厚労省手引きより) |
| 配分の考え方 | 「勤務時間に応じて按分」または「職種ごとの貢献度を考慮して配分」など |
| 賃金改善の方法 | 「基本給に上乗せ」「ベースアップ手当を新設」「賞与で対応」など |
(Ⅳ)の「令和6年3月時点の給与体系に当てはめた場合」は少しわかりにくい項目です。今現在と同じメンバーが令和6年3月時点でいたと仮定して、当時の給与体系で計算した総額を記入します。これにより、評価料導入前からの「純粋な賃上げ額」を計算できる仕組みになっています。
【記入例】看護師3名・医療事務2名のクリニック
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| (Ⅰ)算定開始年月 | 令和8年6月 |
| (Ⅱ)常勤換算数 | 4.2人 |
| (Ⅲ)基本給等総額(R8.6時点) | 1,520,000円 |
| (Ⅳ)R6.3時点体系での総額 | 1,430,000円 |
| (Ⅴ)施設基準水準 | 5.5%(自動計算) |
| 配分方法 | 勤務時間按分 |
| 賃金改善方法 | ベースアップ手当(毎月支給) |
記入時の3つの注意点
1. 対象職員の漏れに注意
2026年改定で40歳未満の勤務医・歯科医師が新たに対象に加わりました。研修医がいるクリニックは対象に含める必要があります。また、パート・アルバイトも対象です。常勤換算して計上します。
2. 賃金改善の方法は基本給または毎月支払われる手当が原則
厚労省の通知では「基本給又は決まって毎月支払われる手当の引上げにより改善を図ることを原則とする」とされています。賞与に全額を充てることは推奨されていません。
3. 計画と実績の差異は調整可能
年度末の実績報告で差異が生じた場合は、翌年度に調整します。厳密に計画通りでなくても問題ありませんが、算定した評価料の全額を賃金改善に充てていることが大前提です。
よくある質問
Q. 提出は毎年必要ですか?
令和6〜7年度は1回の計画書で2年間カバーできましたが、令和8年度改定に伴い、すべての医療機関で再届出が必要です。令和8年6月からの算定には、6月3日までに届出を完了する必要があります。
Q. 様式はどこで入手できますか?
厚生労働省のホームページからExcel形式でダウンロードできます。また、各地方厚生局の窓口でも入手可能です。Medical Attendをご利用のお客様は、システムからワンクリックで必要データを出力できます。
Q. 社労士に依頼した方がいいですか?
スタッフ数が少ないクリニックであれば、様式95と別添2だけの記入で済むため、手引きを見ながら自分で記入することも十分可能です。ただし、配分計画の妥当性や法令遵守の観点から、初回だけは社労士にレビューしてもらうことをおすすめします。
Medical Attendなら計画書作成も自動化
Medical Attendをご利用いただくと、賃金改善計画書の作成に関わる以下の作業が自動化されます。
- ✅ 勤務時間データから対象職員の常勤換算数を自動計算
- ✅ 基本給等総額を給与データと連動して自動集計
- ✅ 「令和6年3月時点の給与体系に当てはめた場合」の額も過去データから自動算出
- ✅ 配分計画をワンクリックで作成(勤務時間按分・職種別調整に対応)
- ✅ 年度末の実績報告書に必要な集計にも対応
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