2024年度の診療報酬改定で導入され、2026年(令和8年)6月からの改定で点数が大幅に拡充された「ベースアップ評価料」。初診時の点数が6点→17点に引き上げられ、同じ診療件数でも約2.4倍の収入になることから、クリニック経営者にとって見逃せない制度になっています。
「どう計算すればいいのか」「誰が対象なのか」「賃金改善計画書って何を書けばいいのか」——初めてだと戸惑うことばかりです。
この記事では、クリニック経営者や事務長向けに、ベースアップ評価料の基本から実務レベルの計算方法、賃金改善計画書の書き方、そして自動計算で事務負担をゼロにする方法までを解説します。
📌 2026年改定で変わった3つのポイント
- 点数が大幅アップ:初診時 6点→17点、再診時 2点→4点
- 対象職員が拡大:40歳未満の医師・歯科医師も対象に
- 全医療機関で再届出が必要:令和8年6月からの算定には新たな届出が必須
ベースアップ評価料とは?
ベースアップ評価料(外来・在宅ベースアップ評価料)は、2024年度診療報酬改定で新設された評価料です。医療従事者の賃金引上げを目的としており、算定した収入を全額スタッフの賃金改善に充てることが条件です。
簡単に言えば、「国が診療報酬という形でクリニックに賃上げの原資を渡し、それをスタッフに分配してください」という制度です。
2026年(令和8年)6月改定で点数が約3倍に引き上げられたことで、より多くの財源をスタッフの賃上げに回せるようになりました。
2つの区分
| 区分 | 対象 | 算定点数 |
|---|---|---|
| ベースアップ評価料(Ⅰ) | 外来医療を提供する医療機関全般 | 外来診療の初診・再診時に算定 |
| ベースアップ評価料(Ⅱ) | 在宅医療を提供する医療機関 | 在宅患者訪問診療時に算定 |
多くのクリニックが該当するのはベースアップ評価料(Ⅰ)です。
対象職種は?
ベースアップ評価料の対象となるのは、クリニックに勤務する医療従事者です。具体的には以下の職種が含まれます。
- 看護師・准看護師
- 医療事務(受付・クラーク)
- 診療放射線技師・臨床検査技師
- 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士
- 管理栄養士・栄養士
- 薬剤師
医師と歯科医師は原則としてベースアップ評価料の分配対象外ですが、40歳未満の勤務医と歯科医師は対象となります(2024年度改定で追加、R8でも継続)。それ以外の医師の賃上げは別の制度(医師の働き方改革関連)で対応します。
また、パート・アルバイトスタッフも対象です。勤務時間に応じた按分で配分します。
計算方法
ベースアップ評価料の配分計算は、大きく3ステップです。
ステップ1:見込収入を計算する
まず、1年間にどれだけのベースアップ評価料を算定できるか(見込収入)を計算します。
2026年(R8)改定後の点数を使うと、初診17点・再診4点となります。月の初診200件・再診600件のクリニックを例に計算してみましょう。
| 項目 | 算定回数/月 | 点数 | 月額 |
|---|---|---|---|
| 初診(R8改定後) | 200件 | 17点 | 34,000円 |
| 再診(R8改定後) | 600件 | 4点 | 24,000円 |
| 月間合計 | 58,000円 | ||
| 年間見込収入 | 696,000円 | ||
ちなみにR6年度の旧点数(初診6点・再診2点)で同じ診療件数を計算すると月間24,000円・年間288,000円。改定により約2.4倍の財源が手に入ることになります。
ステップ2:配分計画を立てる
見込収入を、対象スタッフにどう配分するかを決めます。配分方法に決まりはありませんが、勤務時間や職種ごとの貢献度に応じて配分するのが一般的です。
例:看護師3名・医療事務2名のクリニックで、年間見込収入696,000円を配分する場合
- 常勤看護師A(週40時間):174,000円/年(14,500円/月)
- 常勤看護師B(週40時間):174,000円/年(14,500円/月)
- パート看護師C(週24時間):104,400円/年(8,700円/月)
- 常勤医療事務D(週40時間):174,000円/年(14,500円/月)
- パート医療事務E(週16時間):69,600円/年(5,800円/月)
ステップ3:実績を報告する
年度末に、実際にどれだけの賃金改善を行ったかを賃金改善計画書にまとめて報告します。配分計画と実績の差異は翌年度に調整します。
賃金改善計画書の書き方
賃金改善計画書は、ベースアップ評価料の算定に必須の書類です。以下の項目を記載します。
- 対象スタッフ一覧:氏名・職種・雇用形態
- 配分計画:各スタッフの配分額(月額・年額)
- 配分の考え方:勤務時間按分や貢献度など、配分基準の説明
- 賃金改善の方法:基本給への上乗せ/手当として支給/賞与での対応など
- 年間スケジュール:いつから支給を開始し、いつ実績を報告するか
厚生労働省の「賃金改善計画書用計算ツール」を使うこともできますが、Excelベースで手作業が多く、スタッフ数が多いとかなりの手間になります。
Medical Attendなら、ベースアップ評価料の計算を自動化できます
Medical Attendは、クリニック特化の勤怠管理・シフト・給与計算ソフトです。ベースアップ評価料の自動計算に対応しており、以下の作業がボタン1つで完了します。
- ✅ スタッフの勤務時間データから自動で配分額を計算
- ✅ 職種別の自動配分(看護師・医療事務など職種ごとの配分を自動調整)
- ✅ 賃金改善計画書に必要な集計データをワンクリックで出力
- ✅ 年間の実績報告書作成に必要な集計にも対応
Excelで手計算していた作業が、打刻データと連動して自動化されます。「計算が合っているか不安」「スタッフが増えるたびに再計算が大変」——そんな悩みから解放されます。
ベースアップ評価料の計算、自動化しませんか?
Medical Attend はクリニック専用に設計された勤怠管理ソフト。
打刻・シフト・給与計算・ベースアップ評価料の自動計算まで。30日間無料でお試しいただけます。
