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ベースアップ評価料の歯科版【歯科外来・在宅ベースアップ評価料】算定要件・対象職種・届出

⏱️ 約7分

ベースアップ評価料は、2024年(令和6年度)診療報酬改定で新設され、歯科医院でも算定できる加算です。歯科外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)と(Ⅱ)があり、対象職種や届出の考え方は医科とは少し異なります。

この記事では、歯科版ベースアップ評価料の点数・対象職種・届出の流れを、厚生労働省の資料に基づいて解説します。

歯科外来・在宅ベースアップ評価料とは

歯科外来・在宅ベースアップ評価料は、職員の賃金改善に取り組む歯科医院が、施設基準に適合していることを地方厚生局長等に届け出たうえで算定する加算です。算定した収入を、職員のベースアップ(基本給や毎月支払われる手当の引上げ)に充当することが前提になります。

(Ⅰ)と(Ⅱ)の2種類があります。

(Ⅱ)の区分13〜24は、令和9年6月以降に算定します。また、継続して賃上げに取り組んだ医療機関には、所定点数に代えて増額された点数が設定されています(厚生労働省告示)。

対象職種(誰の賃上げに使えるか)

歯科外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)によるベースアップの対象となる職種は、医療に従事する職種です。厚生労働省の「届出書類の書き方(歯科編)」では、次のように整理されています。

歯科医院でいえば、歯科衛生士・歯科技工士・歯科業務補助者が主な対象です。受付だけを行うスタッフは、単なる医療事務として扱われ対象外となる点に注意しましょう。

常勤・パートの区分はどうなる?

対象職種に該当するかどうかは職種で判断され、常勤・パートの雇用形態で線引きされるものではありません。ただし、賃金改善の計画書では対象職員を明確にし、1ヶ月当たりの賃金改善見込み額を算出する必要があります。パートが多い歯科医院では、対象職員の範囲を最初に整理しておきましょう。

届出の流れ(簡易様式が使える)

歯科医院向けには、令和7年1月にベースアップ評価料(Ⅰ)専用の簡易届出様式が公開されました。特にスタッフ数10名以下の診療所は、この様式を使うと短時間で作成できます。

  1. 厚生労働省や地方厚生(支)局のウェブサイトからエクセル形式の様式をダウンロードする
  2. 対象職種を確認し、誰にベースアップを行うかを決める
  3. 1ヶ月当たりの賃金改善見込み額を入力する(ベア等による法定福利費を含む賃金の増加額が、ベースアップ評価料の算定金額を上回るように設定)
  4. 届出書シートを確認し、メールで提出する

届出のタイミングも重要です。届出をした日の翌月1日から算定可能ですが、月の最初の開庁日(平日)に届出した場合は、その月の1日から算定できます。算定開始を急ぐ場合は、月初の開庁日に合わせて届出しましょう。

(Ⅱ)の区分と継続取組による増額

歯科外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)は、区分1〜24まであり、取組の程度に応じて点数が段階的に設定されています。区分13〜24は令和9年6月以降に算定できる点に注意が必要です。

また、継続して賃上げに取り組んだ医療機関には、所定点数に代えて増額された点数が設定されています。たとえば(Ⅱ)の区分1は、通常8点(再診時等1点)ですが、継続取組の医療機関では16点(再診時等2点)となります。区分によっては通常の2倍程度まで増額されるため、継続して取り組むことの意義は大きいと言えます。各区分の点数は厚生労働省告示で確認してください。

賃金改善計画と実績報告

ベースアップ評価料は、届出後の実績も確認されます。歯科診療所も、賃金改善実績報告書の提出が必要です(無床診療所及び歯科診療所用の様式)。令和7年度分の提出期限は令和8年8月31日(月)です。書き方はベースアップ評価料の実績報告書で詳しく解説しています。

賃金改善計画書の作成時には、基本給または毎月支払われる手当の引上げ見込み額(対象職員全員分を合算したもの)を記載します。賞与の増加分や時間外手当等の見込み額も、賃金改善実施期間の月数で割って算入する点を押さえておきましょう。

制度全体の仕組み(賃金改善計画書・対象職員・計算方法)はベースアップ評価料とは、届出から報告までの流れはベースアップ評価料の届出・報告の実務フローをあわせてご覧ください。

年間スケジュールの目安

歯科医院でのベースアップ評価料の年間スケジュールは、おおむね次のようになります。

  1. 年度初め:対象職種・賃金改善計画を検討し、届出を準備(月の最初の開庁日に提出すると当月から算定)
  2. 届出後:毎月の算定と、賃金改善の実施状況を記録
  3. 毎年8月:賃金改善実績報告書(および中間報告書)を提出
  4. 年度末:翌年度の継続取組を判断(継続すると増額点数の対象に)

よくある質問

歯科医師や院長は対象職種に含まれる?

対象職種には医師・歯科医師は含まれません。スタッフ(歯科衛生士・歯科技工士など医療に従事する職員)の賃上げに使うのが前提です。

医療事務スタッフには使えない?

「単に医療事務を行うスタッフ」は対象外です。ただし、医療に従事する職種として位置づけられるスタッフは、厚生労働省の資料で確認してください。

算定はいつから始まる?

原則として届出日の翌月1日からです。月の最初の開庁日に届出した場合は、当月1日から算定できます。

訪問診療中心の歯科医院でも算定できる?

歯科外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)には歯科訪問診療時の点数(同一建物居住者以外66点・同一建物居住者11点)が設定されています。在宅歯科診療を行う医院は、訪問診療の場面でも算定できます。

届出を忘れた場合はどうなる?

届出前に算定した分は受けられません。算定開始時期を逆算し、月の最初の開庁日に届出ができるよう、対象職員や賃金改善計画の準備を早めに進めましょう。

まとめ

歯科医院でも、歯科外来・在宅ベースアップ評価料を届け出ることで、職員の賃上げに使える収入を確保できます。対象職種の範囲を正確に把握し、簡易様式で届出を済ませ、毎年の実績報告書の提出まで計画的に進めましょう。継続して賃上げに取り組めば増額点数の対象にもなるため、中長期の視点で制度を運用することが大切です。まずは(Ⅰ)から始めて実績を積み、余力ができたら(Ⅱ)の区分を検討するのも現実的な進め方です。賃金改善の実績管理には、勤怠・給与データを正確に残すことが欠かせません。

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