「有給の管理が面倒で、結局Excelでざっくり管理している」「年5日義務化は知っているけど、ちゃんと守れているか不安」「パートさんの有給ってどう計算すればいいの?」——
クリニックの事務長や院長から、こんな声をよく聞きます。2019年に年5日の有給取得義務化がスタートしてから7年。制度はすでに定着期に入っていますが、小規模事業場であるクリニックでは、いまだに管理が追いついていないケースも少なくありません。
この記事では、2026年時点での有給管理のルールを整理し、クリニック現場で実践できる管理のポイントを解説します。
有給休暇の基本ルール:2026年時点の制度整理
付与日数
労働基準法第39条に基づき、正社員・パートを問わず雇用から6ヶ月継続勤務した労働者には年次有給休暇が付与されます。勤続年数に応じて以下の日数が付与されます。
| 勤続年数 | 6ヶ月 | 1年6ヶ月 | 2年6ヶ月 | 3年6ヶ月 | 4年6ヶ月 | 5年6ヶ月 | 6年6ヶ月以上 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 付与日数 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
出典:厚生労働省「年次有給休暇の付与日数」
(https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kinrou/040713.html)
パートの比例付与
週の所定労働時間が30時間未満のパートスタッフには、週の労働日数に応じて比例付与されます。クリニックで多い「週3日勤務」の場合、6ヶ月経過時点で5日、最大で9日となります。
| 週の労働日数 | 週30時間未満の付与日数(6ヶ月〜最大) |
|---|---|
| 4日 | 7日〜15日 |
| 3日 | 5日〜11日 |
| 2日 | 3日〜7日 |
| 1日 | 1日〜3日 |
出典:厚生労働省「パートタイム労働者の年次有給休暇」
(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudoujouken/parttime/index.html)
年5日取得義務化の現状と罰則
2019年4月から、年10日以上の有給休暇が付与されるすべての労働者に対し、年5日の有給取得が義務化されています(労働基準法第39条第7項)。この義務は以下の場合に適用されます:
- 雇用から6ヶ月経過し、10日以上の有給が付与された労働者
- 正社員だけでなくパートも対象(比例付与で10日以上になった場合を含む)
義務違反に対する罰則は30万円以下の罰金(労働基準法第120条)。監督指導の際に指摘されるケースも増えています。
また、使用者は年次有給休暇管理簿を作成し、3年間保存する義務があります(労働基準法第109条・同法施行規則第54条の2)。管理簿には取得日・日数・時季を記録する必要があります。
出典:厚生労働省「年次有給休暇の取得義務化」
(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000136130.html)
計画的付与制度とは
計画的付与制度とは、年次有給休暇のうち5日を除いた残りの日数について、会社があらかじめ計画的に取得日を指定できる制度です(労働基準法第39条第6項)。
導入の条件
- 労使協定の締結が必要(過半数労働者代表または労働組合との書面協定)
- 計画的付与の対象は年5日を超える部分のみ。年5日は労働者の時季指定権が残る
クリニックでの活用例
- お盆期間(8月13日〜15日)に一斉付与
- 年末年始(12月29日〜1月3日)に一斉付与
- ゴールデンウィーク前後に計画的に設定
計画的付与を導入すると、クリニックの診療カレンダーに合わせて休暇日を設定できるため、診療体制を維持しながらスタッフの休暇を確保しやすくなります。
クリニック有給管理の実務ポイント
1. 年次有給休暇管理簿の正しい作り方
管理簿に記録すべき項目は以下の通りです:
- 労働者の氏名
- 有給休暇の付与日・日数
- 取得日・取得日数
- 時季指定の有無
- 繰越日数(前年度からの繰越は2年分が上限)
これらの項目をExcelや紙で管理しているクリニックは多いですが、スタッフ数が増えると更新漏れ・計算ミスが発生しやすくなります。管理簿の不備は労働基準監督署の是正指導対象になり得るため注意が必要です。
2. 繰越管理と時季指定のタイミング
有給休暇の時季指定権は付与日から2年間有効です(2年で消滅)。毎年の付与と合わせて「繰越+新規」の合計残数を把握しておく必要があります。特にパートスタッフの場合、勤務日数が少ないと消化が追いつかず、繰越が溜まりやすいという課題があります。
3. パートの有給消化が進まない問題
パートスタッフは勤務日数が限られているため、有給を消化する機会が少なく、結果的に繰越が増えて管理が複雑になります。計画的付与の活用や、シフト調整と連動した取得計画が効果的です。
システムで有給管理を効率化する方法
有給管理の煩雑さを根本的に解決するには、勤怠管理システムの導入が最も効果的です。システム化によるメリットは:
- 付与・取得・残数を自動計算(比例付与もシステムが自動判定)
- 年次有給休暇管理簿を自動出力(PDFやCSVで保存可能)
- スタッフがスマホから申請・残数確認可能
- 管理者の承認フローで取得漏れを防止
Medical Attendはクリニック専用の勤怠管理SaaSとして、有給の付与・申請承認・残数管理をワンストップで提供しています。パートの比例付与にも対応し、年次管理簿も自動生成されます。給与計算やベースアップ評価料の計算とも連動するため、有給管理だけを個別に導入するよりも効率的です。
まとめ
有給管理は労働基準法上の義務であるだけでなく、スタッフの満足度や定着率にも直結する重要な経営課題です。特にパートスタッフが多いクリニックでは、比例付与の計算・繰越管理・年5日義務への対応が煩雑になりがちです。
まずは自院の有給管理の現状(管理簿の有無・年5日取得率・比例付与の計算方法)を棚卸ししてみてください。その上で、管理に時間がかかっているなら、システム化を検討するタイミングかもしれません。
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