令和8年度診療報酬改定(令和8年6月1日施行)で、医療DXを評価する加算が大きく再編されました。従来の「医療DX推進体制整備加算」は廃止され、「電子的診療情報連携体制整備加算」が新設されています。
この記事では、新加算の点数・算定要件・施設基準・届出の流れを、厚生労働省の資料に基づいて解説します。令和8年度改定への対応を検討中の医療機関は、ぜひ最後までご覧ください。
医療DX推進体制整備加算はどうなった?
医療DX推進体制整備加算は、オンライン資格確認や電子処方箋などに対応する体制を評価する加算として令和6年度改定で新設されました。初診料に8〜12点(マイナ保険証の利用率や電子処方箋の導入状況に応じて)が加算されていました。
令和8年度改定では、この医療DX推進体制整備加算と医療情報取得加算が廃止され、電子的診療情報連携体制整備加算に再編されました(厚生労働省・中医協資料「医療DX推進体制整備加算等の要件の見直しについて」)。
明細書発行体制等加算(再診料1点)は廃止されませんが、電子的診療情報連携体制整備加算を届け出た医療機関は算定できません。
再編の背景には、単にオンライン資格確認や電子処方箋を導入していることだけでなく、取得した診療情報を実際の診療や患者支援に活用できているかを評価する方向への転換があります。要件が実質化されている点がポイントです。
医療DX関連の加算は、令和6年度改定で医療DX推進体制整備加算が新設されて以降、オンライン資格確認の普及や電子処方箋・電子カルテの導入状況に応じて要件が更新されてきました。令和8年度改定は、その集大成として「情報連携」を前面に打ち出した再編と言えます。
電子的診療情報連携体制整備加算の点数
| 算定場所 | 加算区分 | 点数 |
|---|---|---|
| 初診料 | 加算1 | 15点(月1回) |
| 初診料 | 加算2 | 9点(月1回) |
| 初診料 | 加算3 | 4点(月1回) |
| 再診料・外来診療料 | — | 2点(月1回) |
初診料の加算1〜3のどれを算定できるかは、後述する施設基準の充足状況によって決まります。
算定要件(施設基準)
電子的診療情報連携体制整備加算の施設基準(医科)は、次の7項目が共通です。
- オンライン請求を行っていること
- 明細書発行を行っていること
- オンライン資格確認を行う体制を有していること
- オンライン資格確認で取得した診療情報を閲覧・活用できる体制を有していること
- マイナ保険証の利用率が30%以上であること
- マイナポータルの医療情報等に基づき、患者からの健康管理に係る相談に応じる体制を有していること
- 医療DX推進の体制に関する事項および質の高い診療を実施するための十分な情報を取得・活用して診療を行うことを、院内の見やすい場所とウェブサイトに掲示していること
これに加えて、電子処方箋を発行する体制、電子カルテ、診療情報の共有の整備状況に応じて加算1〜3の区分が決まります。要件の組み合わせやマイナ保険証利用率の算定期間などの詳細は、厚生労働省の通知で確認してください。令和8年度改定の届出区分については、地方厚生局の基本診療料の届出一覧も参考になります。
加算区分の考え方
加算1〜3は、電子処方箋・電子カルテ・診療情報の共有といった取組の組み合わせによって決まります。導入済みのシステムを棚卸しし、自院がどの要件を満たしているかを整理すると、算定できる区分が見えてきます。
まだ導入を検討中の場合は、まずは要件のうち満たしやすいものから対応するのが現実的です。電子処方箋の導入を検討中の方は電子処方箋の導入ガイドを参考にしてください。
届出の流れ
施設基準を満たす場合、地方厚生(支)局への施設基準の届出が必要です。令和8年度改定に伴う届出は、改定施行前後で厚生局ごとに受付期間が設定されています。新規に算定を始める場合は、改定後のスケジュールを管轄厚生局で確認しましょう。
届出の際は、施設基準を満たすことを証明する書類(オンライン請求の契約状況、オンライン資格確認の導入状況、掲示物の写しなど)を用意するのが一般的です。求められる書類は厚生局によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
オンライン請求・明細書発行の確認
施設基準の1つ目はオンライン請求です。まだ紙請求の場合は、レセプトオンライン請求の流れを参考に、オンライン請求への移行を検討しましょう。明細書発行は、領収書とあわせて診療報酬の明細を交付する体制のことです。どちらも日常のレセプト業務と直結するため、事務部門と現状を確認しておきましょう。
クリニックが今やるべき準備
- オンライン資格確認の導入状況を確認:未導入なら、まず導入の検討から。導入の手順や補助金はマイナ保険証へのクリニック対応ガイドで確認できます
- マイナ保険証の利用率を把握:30%以上が要件。受付での声かけや掲示の工夫で利用率向上を目指す
- 電子処方箋・電子カルテ・診療情報共有のいずれを満たすか整理:電子処方箋の導入検討は電子処方箋の導入ガイドを参照
マイナ保険証の利用率を上げる工夫
利用率は、受付でマイナ保険証の提示を案内するだけで変わります。待合室や受付窓口への掲示、オンライン資格確認の活用案内、スタッフへの声かけマニュアルの整備など、地道な取り組みが要件達成につながります。
利用率の算定期間や対象の考え方については、厚生労働省の通知で確認してください(本記事では未確認のため明示しません)。
よくある質問
医療DX推進体制整備加算の届出はそのまま有効?
医療DX推進体制整備加算は令和8年度改定で廃止されたため、電子的診療情報連携体制整備加算の算定には改めて施設基準の届出が必要です。
歯科や調剤も対象?
電子的診療情報連携体制整備加算は、医科・歯科・調剤それぞれの点数表で設定されています。本記事は医科(クリニック)を中心に解説しています。
明細書発行体制等加算と併用できる?
明細書発行体制等加算は廃止されませんが、電子的診療情報連携体制整備加算を届け出た医療機関は算定できません。どちらの加算を選択するかは、自院の体制に合わせて判断しましょう。
オンライン資格確認を導入していないと算定できない?
施設基準にオンライン資格確認を行う体制が含まれるため、未導入の場合は算定要件を満たしません。まずはオンライン資格確認の導入検討から始めましょう。
要件を満たしているかどうか、どこに確認すればいい?
施設基準の解釈や届出の要否は、管轄の地方厚生(支)局が窓口です。厚生局の届出一覧や事務連絡を確認し、不明点は直接問い合わせましょう。
まとめ
令和8年6月から、医療DX推進体制整備加算は電子的診療情報連携体制整備加算に再編され、初診料に最大15点が加算されます。算定にはオンライン請求・オンライン資格確認・マイナ保険証利用率30%以上などの要件を満たすことが必要です。自院のDX対応状況を棚卸しし、算定できる区分を確認しましょう。オンライン資格確認・電子処方箋などの導入状況を一覧にし、優先順位をつけて進めるのがおすすめです。要件の細部は厚生労働省の通知で必ず確認してください。
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