令和8年度(2026年度)診療報酬改定で、リハビリテーションに関する算定ルールが見直されました。リハビリ実施計画書の説明・署名ルールの変更や、離床を伴わないリハビリテーションの新設など、現場の運用に直結するポイントが複数あります。
この記事では、令和8年度改定のリハビリ関連の主な変更点を、理学療法士協会やPT-OT-ST.NETの改定情報に基づいて解説します。
リハビリ実施計画書の説明・署名ルールの見直し
リハビリテーション実施計画書は、リハビリ開始後原則7日以内、遅くとも14日以内に作成し、作成時およびその後3ヶ月に1回以上、患者または家族に説明の上交付し、その写しを診療録に添付することが求められています。
令和8年度改定では、この計画書について患者等の署名を不要とする見直しが行われました。診療録に説明日と説明者を記載することで、署名を求めなくてもよいとされています。ただし、計画書の交付自体は引き続き必要です。
回復期リハビリテーション病棟入院料や特定機能病院リハビリテーション病棟入院料を算定している場合は、従来どおり医師による説明・交付が求められます。
「離床を伴わないリハビリテーション」の新設
令和8年度改定では、心大血管疾患リハビリテーション料、脳血管疾患等リハビリテーション料、廃用症候群リハビリテーション料、運動器疾患リハビリテーション料、呼吸器リハビリテーション料のそれぞれについて、「離床を伴わないリハビリテーション」が新設されました。
ベッド上での訓練のみを行った場合、従来の算定と異なる扱いになるケースがあるため、減算や単位数制限の対象となる「特定の患者」に該当するかどうかの確認が必要です。疑義解釈では、車椅子に移乗して訓練室で実施した場合など、離床を伴うと判断される具体例が示されています。
現場では、患者の状態に応じて「離床を伴う訓練」を適切に計画し、算定根拠を診療録に残す運用が重要です。
1単位の定義とみなし単位
疾患別リハビリテーション料は、患者に対して20分以上の個別療法として訓練を行った場合に「1単位」として算定します。訓練時間が1単位に満たない場合は基本診療料に含まれます。
計画書の作成・説明時間、記録時間、個別療法のための移動時間など、患者への直接訓練以外の時間は訓練時間に含まれない点に注意が必要です。
みなし単位の考え方
実施単位数は、従事者1人につき1日18単位を標準、週108単位まで(1日24単位を上限)とされています。この単位数の計算では、次の場合に「みなし単位」として算入します。
- 心大血管疾患リハビリテーションを集団療法で実施する場合:実際に従事した時間20分を1単位とみなす
- 専従の従事者が疾患別リハビリ以外の特掲診療料の業務に従事した時間が合算20分以上の場合:20分を1単位とみなして実施単位数に加える
疾患別リハビリテーション料の種類と施設基準
疾患別リハビリテーション料には、主に次の5種類があります。
- 脳血管疾患等リハビリテーション料(脳卒中など)
- 運動器リハビリテーション料(骨折・関節疾患など)
- 呼吸器リハビリテーション料(COPDなど)
- 心大血管疾患リハビリテーション料(心不全・心疾患など)
- 廃用症候群リハビリテーション料(長期臥床など)
いずれも、専従の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などを配置する施設基準を満たし、届出を行う必要があります。クリニックでリハビリを提供している場合は、算定する疾患別リハビリテーション料ごとに、担当者の専従要件を確認しましょう。
専門施設外での訓練の扱い
令和8年度改定では、届出施設内の治療・訓練の専門施設外で訓練を実施した場合でも、疾患別リハビリテーションとみなすことができるようになりました。また、施設外であっても一定の条件(すべてを満たす場合)を満たせば、1日3単位に限り疾患別リハビリテーションとみなすことができます。
病棟や居室での訓練を実施している施設は、対象となる条件を確認し、算定できる範囲を正確に把握しましょう。
クリニックが押さえるべき実務ポイント
- 計画書の運用を見直す:署名不要のルールに合わせ、説明の記録(説明日・説明者)を診療録に確実に残す
- 離床の有無を記録する:離床を伴わないリハビリテーションの算定に備え、訓練内容を詳細に記録する
- 単位数の上限を管理する:従事者ごとの実施単位数をシステムで把握し、週108単位・1日24単位の上限を超えないようにする
診療報酬改定2026の全体像は診療報酬改定2026(令和8年度)のクリニック対応をご覧ください。
クリニックでのリハビリ提供の注意点
クリニックで疾患別リハビリテーションを提供する場合は、次の点に注意しましょう。
- 外来リハビリ:専従要件を満たすスタッフの配置と勤怠管理が必要。週108単位の上限はスタッフ単位で管理する
- 訪問リハビリ:訪問リハビリテーション指導管理料など、訪問時の算定ルールが別途ある
- 記録の残し方:訓練内容・時間・離床の有無を日々記録し、診療報酬の請求根拠を残す
スタッフのシフトと単位数の管理は、勤怠システムと連動させると作業負担を減らせます。
よくある質問
リハビリの計画書に署名は本当に不要?
令和8年度改定で、診療録に説明日と説明者を記載する場合は患者等の署名を求めなくてもよいとされています。ただし、計画書の交付は必要です。
ベッド上だけの訓練は算定できない?
離床を伴わないリハビリテーションの新設により、ベッド上訓練の算定には「特定の患者」への該当性などの確認が必要です。疑義解釈の具体例を確認し、診療録に根拠を残しましょう。
計画書の交付は家族でも受けられる?
患者またはその家族等に対して説明の上交付することが要件です。交付の事実と説明日・説明者を診療録に記録しましょう。
改定はいつから適用される?
令和8年度診療報酬改定は令和8年6月1日施行です。すでに施行されているため、現在の運用が新ルールに沿っているかを確認しましょう。
リハビリの時間が20分に満たない場合は?
1単位(20分以上)に満たない訓練は疾患別リハビリテーション料を算定できず、基本診療料に含まれます。訓練時間を正確に記録しましょう。
集団コミュニケーション療法とは?
集団コミュニケーション療法は、集団で行う言語・コミュニケーション訓練です。実施単位数の計算では、疾患別リハビリテーションとあわせて単位数を管理します。
計画書の様式はどこで入手できる?
リハビリテーション実施計画書の様式は、厚生労働省の通知や各団体のホームページで確認できます。自院の電子カルテ・レセコンで出力できる場合は、記載項目を確認して運用しましょう。
まとめ
令和8年度改定のリハビリ関連の変更は、計画書の署名不要化、離床を伴わないリハビリテーションの新設、みなし単位の追加など、現場の記録・運用に直結する内容です。改定の詳細は厚生労働省の告示・通知で最終確認し、計画書の説明記録と訓練内容の記録を確実に残す運用を整えましょう。単位数の管理や勤怠記録は、システム化すると正確さと効率が大きく向上します。
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