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オンライン診療で開業するには|届出・施設基準・費用・運用設計の全体像

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オンライン診療での開業を検討するとき、最初に整理したいのは「診療所として開業するのか」「既存の診療所にオンライン診療を追加するのか」の2パターンです。どちらも、医療法上の位置づけと、実施するための届出・体制の確認が必要になります。ここでは全体像を、手続き・設備・費用・運用の順にまとめます。

この記事は2026年8月時点の法令・公開情報に基づく整理です。開業費用やシステム費用の相場は公表されていないため、具体的な金額はベンダー見積で確認する前提としています。

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オンライン診療の医療法上の位置づけ

医療法第2条の2は、オンライン診療を「医師等の使用に係る電子計算機と患者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続し、映像及び音声の送受信により、医師等と遠隔の地にある患者が相手の状態を相互に認識しながら通話することが可能な方法による診療」と定義しています。この定義と関連ルールは令和8年(2026年)4月施行の医療法改正に基づくもので、現在は施行済みの制度です。

厚生労働省は、オンライン診療は対面診療と適切に組み合わせて実施することが基本であり、一部の場合を除き原則として「かかりつけの医師」(日頃から直接の対面診療を行っているなど、患者と適切な関係がある医師)が実施するとしています。初診からオンライン診療のみで完結させることは原則想定されておらず、医師がオンライン診療による診療が適切でないと判断した場合は利用できません。

実施するための手続き

新たに診療所を開設する場合、開設後10日以内に所在地の都道府県知事への届出が必要です(医療法第8条)。また、患者がオンライン診療を受ける場所として施設を提供する「オンライン診療受診施設」を設置する場合は、設置後10日以内の届出が必要になります。

加えて、保険診療としてオンライン診療を行う保険医療機関は、診療報酬上の届出(情報通信機器を用いた診療に関する届出)を管轄の厚生局などへ行います。手続きの詳細は「オンライン診療の届出ガイド」で確認してください。

なお、自由診療のみでオンライン診療を行う場合でも、医療法上の開設・設置の届出や、個人情報保護法制、医療情報システムの安全管理は適用されます。「保険診療か自由診療か」で手続きの有無を決めず、まず全体を確認するのが安全です。

オンライン診療の1回の流れと設計のポイント

オンライン診療は、予約から診療録の記録まで一連の流れを事前に設計しておく必要があります。代表的な流れは次のとおりです。

1予約と事前問診

オンライン枠を予約システムに設定し、診療前に症状や服薬状況の問診票を送付・回収します。

2本人確認と診療

映像・音声の通信を開始し、本人確認をしたうえで診療を行います。通信が不安定な場合の中断手順も決めておきます。

3処方・指示と決済

必要な場合に処方箋を発行し、受け取り方法(連携薬局・郵送など)を案内します。費用の決済方法も確定させます。

4診療録への記録

診療内容、患者の状態、指示内容を診療録に記録し、次回の対面診療につなげます。

この流れのどこに「対面診療への切替」を入れるかも重要です。症状が悪化した場合、医師がオンラインでの継続が不適切と判断した場合の基準を、事前に文書化しておいてください。

必要な体制と設備

オンライン診療の利用手順や患者への説明内容は、厚生労働省が医療機関向けの手引書・チェックリストを公開しています。院内ルールを作るときの土台として利用できます。また、医療情報を扱う以上、サイバーセキュリティ対策(多要素認証・端末管理・バックアップ)も導入時の必須項目です。

費用の考え方

開業費用は、診療所の形態(居抜き・新築・テナント)、自由診療か保険診療か、診療科によって大きく変わります。このため本記事では相場額を示しません。費用計画では、次の3つを分けて見積もってください。

項目内容見積もりのポイント
開業初期費用物件取得・内装・医療機器・電子カルテなど自由診療中心なら機器投資の割合が高くなる
オンライン診療システム診療システム・決済・予約・本人確認の連携月額制と初期費用制があり、通信・保守も含めて比較
運転資金スタッフ人件費・家賃・システム維持費開業後3〜6か月の収支ギャップを想定して確保

複数のベンダーから見積を取り、月額費用と契約期間、解約条件まで比較することをおすすめします。システムの選定は、既存の電子カルテ・予約・会計との連携可否も確認してください。

運用開始前に決めておくこと

保険診療か自由診療かで変わる論点

オンライン診療を保険診療として行う場合、診療報酬の算定要件(施設基準・届出)を満たす必要があります。一方、自由診療として行う場合は、費用の説明と同意、医療広告の規制、患者への情報提供がより重要な論点になります。どちらの場合も、対象となる患者の状態を診療前に把握し、オンライン診療で対応できる範囲を明確にしておくことが基本です。

運用の初期は、かかりつけ患者の継続診療(定期受診の間のフォロー、処方の継続、検査結果の説明など)から始め、患者の理解とスタッフの習熟を確認してから対象を広げる進め方が失敗が少ないとされています。患者向けには、オンライン診療の対象外となる症状や、緊急時に連絡する手段を事前に文書で案内してください。

患者サポートも体制の一部です。オンライン診療の操作に不慣れな患者(高齢者や初回利用者)向けに、電話での操作案内や事前の接続確認の時間を設けると、当日のトラブルを減らせます。問診の記入や決済がスムーズに進まない場合のフォロー手順も、受付スタッフと共有しておいてください。

記録の面では、診療録への記載に加えて、通信の記録(診療日時・利用者・通信の状態)を残す運用を検討します。医療情報システムの安全管理に関するガイドラインに沿って、端末の管理、アクセス権限の設定、バックアップの方針も導入時に決めておきましょう。

まとめ

オンライン診療での開業は、医療法上の定義と基本ルールを押さえ、開設・届出の手続き、研修・システム・記録の体制、費用計画を順に固めることが進め方の基本です。まずは厚生労働省の「オンライン診療について」のページで最新の手引書とチェックリストを確認してください。

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