オンライン診療を始めるとき、どの届出をどこへ出すのかは、医療法上の届出と診療報酬上の届出の2系統があるため、混乱しやすい部分です。この記事では、それぞれの届出の対象・提出先・期限を整理し、開設後の変更手続きまでを確認手順つきでまとめます。
この記事は2026年8月時点の法令・公開情報に基づく整理です。様式や提出先は地域と診療形態で異なるため、必ず管轄の厚生局・都道府県窓口で最新の案内を確認してください。
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届出は大きく2系統に分かれます。1つは医療法に基づく施設・開設の届出で、もう1つは保険医療機関として診療報酬を算定するための届出です。自由診療のみで行う場合は後者が必要ないケースもありますが、保険診療と併用する場合は両方を確認します。
| 区分 | 届出の対象 | 提出先 | 期限 |
|---|---|---|---|
| 医療法 | 診療所の開設 | 所在地の都道府県知事 | 開設後10日以内 |
| 医療法 | オンライン診療受診施設の設置 | 所在地の都道府県知事(保健所設置市等は市長・区長) | 設置後10日以内 |
| 診療報酬 | 情報通信機器を用いた診療の届出 | 管轄の厚生局(保険医療機関として) | 算定を始める前までに |
この3つは「オンライン診療を始めるときに確認する届出」の代表例です。自院の状況(新規開設か既存院への追加か、保険診療か自由診療か)に応じて、該当するものを洗い出してください。
医療法上の届出
診療所を新たに開設した場合、開設後10日以内に、所在地の都道府県知事へ届け出る必要があります(医療法第8条)。オンライン診療だけを行う場所として患者に利用させる「オンライン診療受診施設」を設置する場合も、設置後10日以内の届出が必要です。
休止や廃止、再開のときも原則10日以内の届出が必要です。また、正当な理由がなく1年を超えて業務を休止することはできません(医療法第8条の2)。開設時のスケジュールには、この届出のタイミングを組み込んでおいてください。
診療報酬上の届出
保険診療としてオンライン診療を提供する保険医療機関は、情報通信機器を用いた診療の施設基準に適合し、診療報酬上の届出を行います。届出様式は管轄の地方厚生局が公開しており、例えば東北厚生局は「基本診療料の届出様式」の中で情報通信機器を用いた診療に係る基準の様式を案内しています。届出の前に、担当医師の研修修了を確認してください。
保険診療と自由診療を併用する場合、算定の対象となる診療と自由診療の区分を明確にしておく必要があります。届出の相談は、まず管轄の厚生局の窓口で「情報通信機器を用いた診療の届出」の担当部署を確認するところから始めると確実です。
届出前に整える院内体制
- 厚生労働省が定める研修を修了した医師を配置している
- オンライン診療の実施ルール(対象患者・時間帯・対面への切替基準)を文書化している
- 患者への説明事項(進め方・緊急時連絡先・費用)を確認できる
- 診療録・処方の記録方法を定めている
- 医療情報システムの安全管理ガイドラインに沿った運用を開始している
届出は「書類を出せば終わり」ではなく、届出内容のとおりに運用できる状態を作ってから提出することが前提です。研修修了の証明書や院内ルールの文書は、届出時の添付資料として求められることもあるため、保管場所を決めておきましょう。
確認手順チェックリスト
診療所の所在地を管轄する厚生局と都道府県の医療担当部署を確認し、オンライン診療の届出窓口を問い合わせます。
医療法上の届出と診療報酬上の届出で様式が異なります。最新版を窓口またはホームページから取得します。
研修修了・システム・記録・患者説明が整っていることを、提出前に院内で確認します。
届出の控えと適用開始日を記録し、変更・再開時の再届出漏れを防ぎます。
提出書類とよくある不備
届出の審査で指摘されやすい不備には、次のようなものがあります。提出前にこの一覧で確認してください。
- 研修修了の証明書・修了者の記録の添付漏れ
- 実施ルールや患者説明の文書が未整備のまま提出する
- 様式の旧バージョンを使用している(最新版を窓口で確認)
- 開設届出とオンライン診療の届出の時期が前後し、申請内容と実態が一致しない
- 施設基準への適合確認が不十分なまま診療報酬の届出をする
不備があると、審査や受理までに時間がかかり、開業スケジュール全体に影響します。提出予定日の2週間前には書類をそろえ、医療法人として申請する場合は定款や役員名簿の添付要否も確認しておきましょう。
管轄窓口の調べ方
窓口は、診療所の所在地で決まります。地方厚生局は地域ブロックごとにあり、各局のホームページで届出様式と問い合わせ先が公開されています。都道府県の医療担当課や保健所も、医療法上の届出の窓口になることがあります。
電話やメールで確認する前に、自院の状況(新規開設か追加か、保険診療か自由診療か)を整理しておくと、担当者とのやり取りがスムーズです。確認事項は、必要な様式、添付書類、提出方法(窓口・郵送・電子申請)、標準的な処理期間の4点です。回答は記録に残し、担当者名と確認日をメモしておきましょう。
保険診療の算定要件に関わる確認ポイント
保険診療としてオンライン診療を算定する場合、情報通信機器を用いた診療の施設基準への適合が前提になります。施設基準の内容は診療報酬の改定で変わることがあるため、最新の告示・通知を確認してください。代表的な確認ポイントは、研修を修了した医師の配置、実施体制と記録、患者への説明の実施です。
届出を受理されたあとも管理は続きます。医師の変更、実施時間帯の変更、診療内容の見直しなど、届出内容に変更が生じた場合は、再届出や届出内容の更新が必要かどうかを管轄窓口に確認してください。受理通知と適用開始日は、経営資料として必ず保存しておきます。
開業スケジュールには、届出の「提出日」だけでなく「受理・適用開始までに必要な期間」も織り込んでください。審査の所要期間は地域や窓口で異なるため、余裕を持った計画が安全です。また、相談の際は、診療科、開業予定地、保険診療か自由診療か、オンライン診療の開始予定時期の4点を先にまとめておくと、担当者との確認がスムーズになります。確認結果は日付と担当者名を添えて記録し、チーム内で共有してください。
なお、地域によっては電子申請が可能な場合があります。窓口提出に比べて処理状況を確認しやすい利点があるため、提出方法の選択肢も最初の問い合わせで確認しておきましょう。診療所の所在地によっては保健所が窓口となるケースもあるため、「医療法上の届出の担当部署」を必ず明示して問い合わせるのがポイントです。
まとめ
オンライン診療の届出は、医療法上の開設・設置届出(10日以内)と診療報酬上の届出を分けて考え、管轄窓口で最新の様式を確認するのが確実です。届出の前に研修・システム・記録・患者説明を整え、受理後の適用開始日を管理することで、運用開始後の手戻りを防げます。詳細は厚生労働省の「オンライン診療について」をご確認ください。